快適で省エネな「パッシブデザイン」
快適省エネ性能の考え方と「パッシブデザイン」
目次
『快適と省エネ性能』において設計が大切にしている事
昨今の住宅業界では、UA値が0.4以下で…など数字を横並びにして数値が良い方が優れた住宅であるかのように謳われる事が多いように感じています。
私たちの家づくりでは、断熱性能などの「数値だけ」を最優先にする設計はしていません。
なぜなら、住み手がその数値を高める事で得たい物はマイホームで「快適に過ごせる事」であったり「省エネで電気代が節約できる事」で、ただ「いい数値の家」に住みたいわけではないはずです。
『数値は良く見せることが出来る』
各社公表しているC値・Q値・UA値ですが、算出条件はハウスメーカーごとに異なるために、延べ床面積を広めに設定するほど、Q値は小さくなり、窓の面積を減らせば「建物各部から逃げる熱量」が少なくなり、UA値を小さく見せることができます。
C値(気密)に関しては建てた後に気密測定しますので、全棟測定していないメーカーの方が多く、公表されている数値がある場合はあくまでも「目標」であるという点です。
『コスト配分をよく考える必要がある』
断熱材を厚くする、窓の性能を上げるetc…これらにも当然ですがコストがかかります。
例えば名古屋で、土地の形状や日射取得などの環境条件が良く、間取りもシンプルな総2階の家を建てる場合、適切な断熱と窓の選択、日射取得・遮蔽などパッシブデザインの工夫をし、温熱シミュレーションすると、満足のいく室温結果がでる事も多いものです。であれば、最適な量まで削減して浮いたコストで、諦めていた仕様や素材・デザイン・インテリア…何かを諦めなくても良くなるかもしれません。
逆を言えば、土地の日射条件などが良くなく、家の形状がコの字かつ窓の多い間取りを希望した場合は、標準の厚みの断熱や窓では、快適な室温環境を保てる家にならない事もあります。
極端な例ですが、素晴らしい風景が広がる土地で窓のとても少ない家を建てる。家の中は省エネで暑さ寒さを感じにくい家になりました。
果たしてその土地だからこそ得られた豊かな景色を無くさなければ、本当に住み手の望む快適性は確保できなかったのか?建築屋としてより良い提案が出来たのではないか?
と私たちは思うのです。
大切なのは、住み手の価値観と土地の個性を理解した上での「最適解」を見つける事
住まい手が求めているマイホームでの幸せな暮らしには、人それぞれの理想や要望があります。
土地のもつ個性×コスト×デザイン×性能×間取り
一邸一邸しっかりと寄り添い、最適解を見つけてご提案する。
私たちはそんな家づくりを大切にしています。
ニケンハウジングはその家に合った快適な暮らしをご提案をします
【全棟標準】
- パッシブデザイン
- 温熱シミュレーション実施
- 断熱等級6
- 気密測定実施(0.5以下)
- 室温目標15度以上
気密測定⇩
【対応可能】
- zehゼロエネルギーハウス
- LCCM住宅
【換気・空調システム採用実績】
過去実績にて様々な換気・空調システムを採用しています。この他に導入検討したい設備がある方はご相談ください。
- せせらぎ
- IAQ-Ⅴ アイエーキューブ
- ルフロ
- マッハシステム
- チリウヒーター
- パッシブエアコン
- 床下小屋裏エアコン
- 共立エアテックecocochi など
パッシブデザイン
『小さなエネルギーで心地よく暮らす。』
ひだまりの暖かさと木陰にそよぐ風の涼やかさ、自然の心地よさを最大限いかす。
機械のちからに頼る前に、太陽の光や熱、自然の風など、その建物の周りにある自然のエネルギーを最大限に活用・調整する。
パッシブデザインの家。
パッシブデザインをおすすめする理由
その1|建ててから後悔してほしくない
新築してから後悔する項目
1位 間取り・収納
2位 暑い寒い 風通し 暗い 結露(=室内環境)
1位の間取りの不満率の高さは納得される方も多いと思います。マイホームを計画する上でも皆さん時間をかけて検討されています。2位の寒さ暑さなどの室内環境については、建築業者におまかせで間取りほど真剣に検討される方は少ないように思います。しかし実際は築年数が増すごとにうなぎのぼりに上がっており、3位以下を突き放しての不満率の高さです。
その2|健康で安全に暮らしてほしい。
各種疾患の改善率と転居した住宅の断熱性能との関係
新築の高断熱高気密住宅に引っ越した約3万5千人を対象に行われた健康調査です。気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎など15の諸症状について、引っ越し後の変化を尋ねたこの調査では、大半の症状に明らかな改善が見られます。特に省エネ等級4以上など、より断熱性の高い住宅へ引っ越した人ほど改善率が高くなっています。
ヒートショックでの死亡者数と平均気温との関係
実は、ヒートショックに関連した入浴中急死に至った人の数は、交通事故による死亡者数の3倍以上です。
寒い家に暮らすだけで、交通事故よりも死亡のリスクが高まるのです。
その3|未来を生きる子どもたちから暮らしやすい地球環境を奪いたくない
私達が消費しているエネルギーは、原油、石油、天然ガスなどの一次エネルギーを輸入してまかなっており、現在の日本のエネルギー自給率は原子力を除くと4%ほどです。
先の東日本大震災では、エネルギーの安定供給の災害に対する脆弱性や原子力の安全性にかんする問題が露見しました。
また、化石燃料からエネルギーを得るために、非常に多くのCo2を排出していますが、co2を含む温室効果ガスの排出により地球温暖化が進むことで、気候が変動し、生態系に影響が出ていると言われています。
排出量の推移をみると、一定の効果を上げている産業部門などに比べ、家庭部門では増加の一途をたどっています。
2021年4月より、建物の省エネ性能について建築士から建築主(お施主様)への説明が義務化され、建主の関心の高まりと建築業界の省エネルギーへの意識向上が期待されますが、業界の大きさから法改正への反発力も大きく、法改正は十分なものとは言えません。
できることは限られていますが、「気候変動を止められる最後の世代」と言われる私達の世代が自分にできる事を考え、実践することが大切だと考えています。
パッシブデザインとは?
パッシブデザインの定義は、建物のあり方に工夫して、建物の周りにある自然エネルギー(太陽、風、地熱)を最大限に活用、調整できるようにし、高い質の室内環境を実現させながら、省エネルギーに寄与しようとする、建築設計の考え方とその実際的手法を指します。
パッシブデザイン5つの要素
断熱
暖かい家をつくるためには、気密と断熱を高めることが重要な条件となります。
断熱性能を一定以上高めるメリットは、
- 少ない熱で部屋を暖めることができる(省エネ性)。
- 暖房していなくても室温が一定に保たれる(快適性、健康性)。
- 暖房している部屋と暖房していない部屋との温度差が小さくなる(快適性、健康性)。
- 窓、床、壁などの表面温度が高く保たれる(快適性)。
などがあげられます。
しかし、いくら高性能な断熱材を使用しても隙間だらけでは全く意味がありません。高価なダウンジャケットもファスナー全開で着ていたら寒いのと同じで、施工がキッチリ隙間なく行われなければ設計通りの効果が得られません。
当社は工事に携わる全ての人が正しい知識を持たなくてはいけないと考えます。その為に設計、コーディネーター、監督、職人さん、家づくりに携わる全員が技術講習を受けております。
日射遮蔽
『夏を涼しく』過ごすために一番効果的なことは、莫大なエネルギーを持つ太陽熱を遮ることです。
日本の夏は開放的にする事が良いというイメージが先行していますが、外気温の高い昼間は、一旦閉じることができる工夫が重要です。
特に、日射侵入の多い開口部の日射遮蔽は、冷房エネルギー削減に最も有効に働きます。
庇・軒の長さや位置を最適に設計し、外付け可動ルーバーなどを取り付けることで、窓ガラスに当たる日射を遮り、または、日射遮蔽型のガラスやカーテンで室内への熱の侵入を防ぎます。
自然風利用
身体に風が当たると涼しいと感じます。また、窓を開けて空気の流れをつくることで、建物内に溜まった熱を外に出すことができます。この効果を利用した手法が自然風利用です。
この手法は、夏の夜間や盛夏の前後の外気温が比較的低いときに行うことが有効です。建設地の卓越風(一番多く吹いてくる風向き)を調べ、必要な開口部を適正な場所に設けます。
ウインドキャッチャーや高所窓などを組合せ、どこから風が吹いてきても風が通るよう、通風経路を考えます。
昼光利用
太陽の光をそのまま利用し、照明に頼らず明るい室内をつくることを目標にします。
日中家族が過ごす部屋にはできるだけ2面以上の窓を設け、室内の窓や欄間を介して非居室にも光を届けます。吹き抜けやライトウェル(光井戸)などで光を導く【導光】という手法も有効です。
また、内装の仕上げを明るい色(つや消しの白が一番)にすることで、反射した光がより遠くまで届きます。
(ついでながら人口照明の光も、白色の内装と濃色の内装では部屋の明るさが格段に違うので、明るい色の内装は夜間の照明エネルギーの削減にもつながります。)
日射熱利用暖房
「日射熱利用暖房」とはその言葉の通り、冬に日射熱を室内に採り入れて暖房に使うという設計技術です。
このときに重要になるのが、日射熱を採り入れる「集熱」、入った日射熱を逃がさないための「断熱」、入った日射熱を蓄えておく「蓄熱」の3つのデザインをしっかり考えることです。
ただし、地域によっては日射熱利用暖房があまり効果的ではない場合があったり、敷地の南側に建物などがあると冬の日射が遮られ十分な集熱ができないため、方位や周辺環境を事前の検討を行うことが重要です。
日射熱を上手く取り入れることができればその効果は大きく、名古屋周辺地域で遮るもののない南面の窓(2.6m×2m)から入る熱は、概ね1000Wの電気ストーブ1つと同じくらいです。
パッシブデザインにもいろいろある
パッシブという言葉は最近よく耳にしますがパッシブを知れば知るほど奥が深いと感じました。高断熱やウィンドキャッチャー、大きな開口部を設けただけではパッシブとは言いません。
温熱計算や室温シュミレーションなど複雑な計算が必要となりますが快適な空間設計を造るにはそういった数字を確認しながら設計する事が重要です。データに基づきその土地の環境、その間取りなど総合的に検証された唯一無二の建物になるのがパッシブデザインだと考えます。